VCM
塩酸バンコマイシン
項目名称
バンコマイシン
臨床的意義
- バンコマイシンの点滴静注による治療を新たに開始したとき,腎機能に変化がみられたとき,投与が長期化するときに血中濃度モニタリングを実施する.経口投与の場合,消化管からの吸収はほとんどないとされている.偽膜性大腸炎などで経口投与された場合,病変部から吸収され血中から検出されることもあるが,血中濃度モニタリングは不要である.
- 感染症,検出菌,検出部位,臨床所見を考慮し,安全かつ有効な投与法(投与量,投与間隔,点滴速度)を患者ごとに設定するため,バンコマイシンの点滴静注による治療時には適切な血中濃度モニタリングを実施することが望ましい.バンコマイシンの血中濃度と母集団パラメータを基に解析して得られた投与設定を参考にして,患者ごとの最適な投与法で治療することが重要である.
- 腎機能の変化によって血中濃度推移も変化するため,細菌検査を含めた感染症の経過を把握するための検査とともに,腎機能に関する検査を実施する.腎機能が変化した場合には,再度,血中濃度モニタリングを実施して投与法を再設定する.
適応症
- メチシリン,セフェム耐性の黄色ブドウ球菌のうちバンコマイシン感受性菌による感染症.
基準値・異常値
有効治療濃度 |
有効血中濃度
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副作用 |
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予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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製品情報
エミット2000 バンコマイシン アッセイ
添付文書記載の 測定結果 |
<参照治療域> バンコマイシンのピーク治療域はかなり変動することが報告されています.投薬と検体採取時間の両方が、ピーク治療域に影響することが考えられます.*,*2,*3,*4例えば、成人において、バンコマイシンを60分間点滴した後、2時間採血で18~26μg/mL*2、1時間で26.5~40μg/mL*4、30分採血では30~40μg/mLの濃度となります.*,*2 <測定結果の判定> ・ 結果は各種自動分析装置によって自動的に計算されます.検体を用手法で希釈しないのであれば、さらに必要な操作はありません. <判定上の注意> ・ 高濃度のバンコマイシン検体を希釈した時の正確性は、希釈に使用した溶液(エミット2000 バンコマイシン キャリブレータ0、蒸留水又は脱イオン水)や希釈の精度等の影響を受けます. * Rodvold KA, Erdman SM, Pryka RD: Vancomycin, in Schumacher GE (ed): Therapeutic Drug Monitoring . Norwalk, CT: Appleton and Lange; 1995:587-632. *2 Fitzsimmons WE, Postelnick MJ, Tortorice PV: Survey of vancomycin monitoring guidelines in Illinois hospitals. Drug Intell Clin Pharm. 1988;22:598-600. *3 Moyer TP: Therapeutic drug monitoring, in Burtis CA, Ashwood ER (eds): Tietz Textbook of Clinical Chemistry. 3rd ed. Philadelphia, Pennsylvania: WB Saunders; 1999:886-905. *4 Healy DP, Polk RE, Garson ML, Rock, DT, Comstock TJ. Comparison of steady-state pharmacokinetics of two dosage regiments of vancomycin in normal volunteers. Antimicrob Agents Chemother. 1987;31(3):393-397. |
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