略称
UIBC
項目名称
不飽和鉄結合能
臨床的意義
- 鉄欠乏状態あるいは鉄過剰状態を疑った場合に検査をする.血清トランスフェリン濃度は鉄欠乏状態で増加し,慢性感染症や悪性腫瘍などで低下するので,血清鉄と不飽和鉄結合能を併せて測定することにより,鉄代謝異常をきたす病態の鑑別診断に役立つ.
- 貯蔵鉄プールから動員された鉄は,トランスフェリンに結合し血中を流れ骨髄中の細網細胞を経て,赤芽球系の細胞に摂取されヘモグロビンの合成に利用される.赤血球は平均120日で崩壊し,細網細胞で処理を受け,鉄は再び造血に利用されるか,貯蔵鉄になる.この閉鎖サイクルのどこかに破綻をきたした場合,血清鉄の異常値を示す.
- 近年,hepcidinやferroportin 1といった鉄代謝関連蛋白質が発見されており,今後の研究成果が待たれる.
- 血清鉄と総鉄結合能は,小球性(低色素性)貧血の鑑別診断に用いられることが多い.血清鉄の低下は,①出血などによる鉄の喪失,②妊娠などの鉄の需要の増大,③炎症性疾患などで貯蔵鉄を利用できないときにみられる.食物からの鉄の吸収量は約1mg/dayであり,ほぼ同量が排泄される.長期にわたり鉄の欠乏した食事を続けると,貯蔵鉄および血清鉄は低下する.性差があり,月経による失血がある年代の女性は男性に比し低値を示す.
- 血清鉄が増加する主な原因として,①頻回の輸血や不適当な鉄剤の非経口投与,②貯蔵鉄の放出(急性肝炎など),③原発性ヘモクロマトーシスにおける鉄吸収過剰がある.
基準値・異常値
基準値 | 男性110~278μg/dl,女性121~290μg/dl |
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高値 |
鉄欠乏性貧血,潜在性鉄欠乏,真性多血症など(血清鉄は低値) |
低値 |
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予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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製品情報
Lタイプワコー UIBC
添付文書記載の |
参考正常値* 191~269μg/dL(血清) *金井 泉,金井正光:「臨床検査法提要」第29版,487-491(金原出版)(1983). |
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