T-Bil,TB
項目名称
総ビリルビン
臨床的意義
- 一般に,総ビリルビンが2~3mg/dl以上に上昇すると眼球結膜の黄染によって黄疸として気づかれるようになる(顕性黄疸).黄疸を認めるときに,直接ビリルビン(または抱合型ビリルビン)とともに測定することが多い.また,無症状でも一般健診のなかで測定され,体質性黄疸の診断のきっかけになることがある.
- ビリルビンのグルクロン酸抱合以前の代謝過程の異常により発生する黄疸では間接ビリルビンが増加し,それ以降の代謝過程の異常では直接ビリルビンが増加する.したがって,総ビリルビンと直接ビリルビン(間接ビリルビンは両者の差)を測定することにより,ビリルビン代謝過程,関係臓器,病態,経過などを簡便に診断することができる.
- 総ビリルビン値が高いときには,まず,直接ビリルビン優位か,間接ビリルビン優位かを確認することが肝要である.間接ビリルビンが優位な黄疸の場合は,非抱合型ビリルビンの生成からグルクロン酸抱合までの代謝過程のいずれかに原因が存在すると考えられる.直接ビリルビンが優位な黄疸の場合は,グルクロン酸抱合より後の過程,すなわち抱合型ビリルビンの肝細胞内輸送から胆管への排泄,さらに腸管への排泄にいたる過程での原因の存在を示唆する.それぞれの場合についての検査の進め方は各項で後述する.
基準値・異常値
基準値 | 0.2~1.0mg/dl |
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高値 |
急性肝炎,慢性肝炎,劇症肝炎,肝硬変,肝癌,アルコール性肝炎,自己免疫性肝炎,薬剤性肝障害,急性妊娠性脂肪肝,急性肝内胆汁うっ滞,良性反復性肝内胆汁うっ滞,肝膿瘍,レプトスピラ症,原発性胆汁性肝硬変,原発性硬化性胆管炎,閉塞性黄疸(良性:胆道系の炎症および結石,悪性:胆道系および膵頭部の腫瘍),Dubin-Johnson症候群,Rotor症候群,ヘモクロマトーシス,Wilson病,Byler病(乳児),Alagille症候群(乳児),先天性胆道閉鎖症(新生児),新生児肝炎,溶血性貧血,新生児黄疸,Gilbert症候群,Crigler-Najjar症候群Ⅱ型,Ⅰ型(新生児~乳児),シャント高ビリルビン血症,肝炎後高ビリルビン血症,Lucy-Driscoll症候群(新生児),心不全 |
予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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JCCLS共用基準範囲
基準範囲 |
0.4~1.5mg/dL JCCLS(日本臨床検査標準協議会)が健常者の大規模調査データをもとに、日本国内で共通に利用可能な基準範囲として設定したもので、日本医師会をはじめとする関連団体の賛同を得て公表された基準範囲です. |
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製品情報
総ビリルビンE-HAテストワコー
添付文書記載の |
参考正常値* 0.2~1.2mg/dL *秋山建児,牧野 勲:臨床医,19(増刊号),242-244(1993). |
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