略称
TTR
別名
プレアルブミン
項目名称
トランスサイレチン
臨床的意義
- TTRは半減期が短い(rapid turnover protein:RTPとよばれる)ことから,栄養状態の変動が速やかに反映される.すなわち,外科手術後の患者,乳幼児の栄養管理の指標として有用である.保険診療上は,手術前後の中心静脈栄養の適応の判定や,その効能判定の検討に際して実施した場合に算定できる.
- 肝の蛋白合成能の指標であることから,急性肝炎初期や慢性活動性肝炎,肝硬変では低値となり,肝炎の回復期には一過性に高めになることがある.この点ではアルブミンやコリンエステラーゼ活性とよく平行する.
- TTRは炎症時に合成が低下するので,アルブミンとともに低値を示す.またアルブミンよりは低分子であり,腎からの排泄もあるので,腎不全では高値傾向となる.したがって本来の目的である栄養状態を評価するとき,炎症や腎機能を考慮すべきである.
- ATTRアミロイドーシスは,臨床的には家族性アミロイドポリニューロパチーとよばれるもので,TTR遺伝子の点変異による単因子遺伝病である.アミノ酸置換による異型TTRが神経組織を主に全身に沈着する.わが国で最も多い型は30位にメチオニンをもつ変異であるが,TTRの他の部分にも異常をもつ型も多く報告されている.
基準値・異常値
基準値 | 22~40mg/dl |
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高値 |
腎不全,甲状腺機能亢進症,急性肝炎回復期,高カロリー輸液,妊娠後期 |
低値 | 低栄養状態(外科手術後,栄養摂取不足,腸管吸収不良),肝機能障害(急性または慢性活動性肝炎,肝硬変),炎症性疾患,ATTR型アミロイドーシス(家族性アミロイドポリニューロパチー)次に必要な検査アルブミンその他の栄養指標,アミロイドーシスが疑われる場合はTTR遺伝子検査またはTTR蛋白の質量分析. |
予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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製品情報
オートワコー プレアルブミン
添付文書記載の |
参考正常値* 血清 22~40mg/dL *血清蛋白基準範囲設定プロジェクトチーム:臨床病理,特101,207-209(1996). |
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