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メトトレキサート

略称

MTX

項目名称

メトトレキサート

臨床的意義

適応症

基準値・異常値

有効治療濃度

中毒血中濃度域

  • メトトレキサート(MTX)投与開始後24時間のMTXの血中濃度が1×10-5(10μ)モル濃度,48時間の濃度が1×10-6(1μ)モル濃度,72時間の濃度が1×10-7(0.1μ)モル濃度以上のとき,重篤な副作用が発現する危険性が高い.
  • MTX投与48時間後の血中濃度値は副作用モニターの観点から重要な指標となるので,48時間後の血中濃度の測定は必ず実施する.
副作用
  • ショック,アナフィラキシー様症状,骨髄抑制,感染症,重篤な肝障害,重篤な腎障害,間質性肺炎,肺線維症,重篤な皮膚障害,重篤な腸炎,膵炎,骨粗鬆症,痙攣,片麻痺,失語,脳症,痴呆,麻痺,Guillain-Barré症候群,昏睡
  • MTX・ロイコボリン救援療法において,MTXの高い血中濃度持続による重篤な骨髄抑制,肝・腎機能の著しい低下,持続する口内潰瘍,下痢,下血などの副作用があらわれた場合には大量のロイコボリン救援投与を実施する.

今後の検査の進め方

  • MTX・ロイコボリン救援療法では,実施前日よりロイコボリン投与終了まで,100~150ml/m2/hrの水分補給を行う必要がある.MTXの排泄を促進するため,尿量を増加させ,MTXの溶解度を高めるためである.また,MTXの大量投与によって破壊,死滅した癌細胞より血液中に放出された多量の尿酸塩を迅速に体外へ排出するためにも,大量の水分補給は重要となる.
  • MTXの高い溶解度を保つためには,尿のpHを常に7.0以上に維持しなければならない.
予想外の値が認められたとき
  • MTXと多くの薬剤との併用による相互作用が報告されている.
  • サリチル酸などの非ステロイド性抗炎症薬と併用すると,非ステロイド性抗炎症薬の腎におけるプロスタグランジン合成阻害作用による腎血流量の低下およびナトリウム,水分貯留傾向のためMTXの排泄が遅延し,MTXの副作用(骨髄抑制,肝・腎・消化管障害,血液障害など)が増強されることがある.
  • スルホンアミド系薬剤,テトラサイクリン,クロラムフェニコール,フェニトイン,バルビツール酸誘導体と併用すると,併用薬剤が血漿蛋白と結合しているMTXを競合的に置換遊離し,MTXの濃度を上昇させ,その毒性を増強させるため,MTXの副作用が増強されることがある.
  • スルファメトキサゾール・トリメトプリムと併用すると,両薬剤の葉酸代謝阻害作用が協力的に作用するため,MTXの副作用が増強されることがある.
  • ペニシリン(ピペラシリンナトリウムなど)と併用すると,ペニシリンがMTXの腎排泄を競合的に阻害するため,MTXの副作用が増強されることがある.
  • プロベネシドと併用すると,プロベネシドがMTXの腎排泄を競合的に阻害するため,MTXの副作用が増強されることがある.

出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
無断転載を禁止します

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受け、当社が転載しているものです。
転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

製品情報

添付文書記載の
測定結果
の判定法

<参照治療域>

本品は血清又は血漿中に含まれるメトトレキサート濃度0.3~2600μmol/Lを正確に測定します.大量療法を施して24時間後の血清メトトレキサート濃度が5μmol/Lを超える場合は、一般的に毒性を示す危険性がありますが、この濃度はあくまでも参照値ですので、測定結果の判定は患者の臨床症状と照らし合わせて行ってください.


<測定結果の判定>

・ 測定結果は機器によって自動的に計算されます.結果を再計算する必要はありません.
・ 血清又は血漿中のメトトレキサート濃度は、最終薬剤投与時間、投与方法、併用薬物療法、検体の状態、検体採取時間、及び吸収・分布・生体内変化・排泄の個人差などに依存します.測定結果を判定する際は、これらの要因を考慮する必要があります.


<判定上の注意>

・ メトトレキサートの濃度が、0.3μmol/L未満の検体測定は推奨しません.
・ メトトレキサートとは通常併用されない抗癌剤のアミノプテリンや、メトトレキサートの代謝物の1つである4-amino-4-deoxy-N10-methylpteroic acid(APA)は本アッセイにおいて著しい交差反応を示します.


* Crom WR, Taylor RH, Pratt CB: Methotrexate: Therapeutic use and serum concentration monitoring, in Taylor WJ, and Finn AL (eds): Individualizing Drug Therapy: Practical Applications of Drug Monitoring. New York, Gross, Townsend, Frank, Inc, 1981;, Vol. 1, pp. 149-173.

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