Mg
項目名称
マグネシウム
臨床的意義
- 本検査は下記の場合に必要となる.
①易興奮性,テタニー,痙攣,心電図の異常,神経筋の異常などによりMgの欠乏症が疑われた場合(ただしCa欠乏症に類似する).
②小腸切除術後,慢性下痢,アルコール依存症,ジギタリス製剤,利尿剤の投与などでMg欠乏状態が疑われる場合.
③腎障害,徐脈などからMg高値が疑われる場合.
- Mgは食事として1日約300mg摂取され,その40~50%は腸管から吸収される.排泄は,主に腎臓から1/3,便から2/3が行われる.このため,①摂取飲食物中のMg不足,②禁食下輸液管理中などの理由によるMg欠乏,③持続する嘔吐,下痢,消化液喪失によるMg喪失,などの理由によりMgは欠乏する.一方,腎臓機能の障害ではMgの過剰が起こりやすく,糸球体濾過率(GFR)が30ml/min以下でMgは上昇するとされる.
- Mgが生体で欠乏しはじめると,血清中のMgが基準値ながら,尿中のMgの排泄がゼロに近くなるほど低下し,血球でも低下する.また慢性のMg欠乏でも血清Mgは必ずしも低下するとは限らない.このため,Mg欠乏を疑う場合は,血清,血球,尿のMgを測定する.一方,高Mg血症は血清のMgを測定する.
基準値・異常値
基準値 |
〈血清〉1.7~2.6mg/dl 〈尿〉50.0~135.0mg/day |
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高値 |
腎障害,脱水,ケトアシドーシス,Addison病,肝炎,甲状腺機能低下症,ミルク・アルカリ症候群,ビタミンDやリチウム投与中など 次に必要な検査他の電解質検査とともに測定する. |
低値 | 小腸切除術後,慢性下痢,吸収不良症候群,腎不全多尿期,原発性アルドステロン症,甲状腺機能亢進症,副甲状腺機能亢進症,Bartter症候群,肝硬変,輸液,アルコール依存症,妊娠,授乳,原発性低Mg血症,飢餓,高Ca血症,各種薬剤(ゲンタマイシン,カルベペニシリン,アンホテリシンB,シスプラチン,シクロスポリン,ほか)次に必要な検査他の電解質検査とともに測定する. |
予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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製品情報
Lタイプワコー Mg・N
添付文書記載の |
参考基準範囲* 血清 1.8~2.4mg/dL(1.5~2.0mEq/L) *金井正光 他:臨床検査法提要(第34版),541-544(2015). |
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