別名
膵リパーゼ
項目名称
リパーゼ
臨床的意義
- 腹痛,背部痛,体重減少,下痢などの消化器症状,アルコール多飲者,中高年になり急に糖尿病が出現した場合など膵炎や膵癌を疑う症状を認めた場合には,スクリーニング検査として血中膵リパーゼを測定する.
- 膵管の狭窄・閉塞による膵液のうっ滞,または膵の組織破壊が存在すれば,血中へのリパーゼの逸脱が増加する.急性膵炎の典型例では,血中膵リパーゼは膵炎発症後4~8時間以内に上昇し,24時間で頂値に達し,1週間前後で正常に復するが,血中アミラーゼよりも異常高値の持続日数が長い場合が多く,急性膵炎発症24時間以降はリパーゼの方がアミラーゼより感度が高い.
- 血中膵リパーゼはアミラーゼよりも膵特異性が高く,異常高値の持続期間も長いことから,急性膵炎の診断には最も有用な検査である.
- アルコール性膵炎では,アミラーゼよりも高値となりやすく,アミラーゼ/リパーゼ比が3以上の場合にはアルコール性膵炎の可能性が高い.
- 血中膵リパーゼ上昇の程度と膵炎の重症度とは必ずしも並行しない.広範な壊死性膵炎では血中膵リパーゼが病変の進行とともに低下する.
- まれにリパーゼが免疫グロブリンと結合したマクロリパーゼ血症(リパーゼ-IgG-λ)がある.
基準値・異常値
基準値 | 17~57U/l(参考値)、11~53U/l(参考値) |
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高値 |
急性膵炎,慢性膵炎増悪期,膵嚢胞,膵癌(初期),腎不全,肝硬変,糖尿病性ケトーシス,慢性非症候性アルコール症,マクロリパーゼ血症 次に必要な検査
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低値 | 慢性膵炎非代償期,膵癌(膵実質の広範な破壊),膵嚢胞線維症,糖尿病,急性肝壊死次に必要な検査
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予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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