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乳酸デヒドロゲナーゼ

略称

LD,LDH

項目名称

乳酸デヒドロゲナーゼ

臨床的意義

基準値・異常値

基準値 101~193IU/l(1.68~3.22μkat/l)
P→L(UV)法ではおよそ200~400U/l
高値

溶血性貧血,悪性貧血,心筋梗塞,白血病,悪性リンパ腫,悪性腫瘍,横紋筋壊死,急性肝炎,肝硬変など.すべての細胞に存在するため,いずれの細胞・組織の傷害によっても上昇する.

Critical/Panic value
1,000IU/lを目安とし,重大な細胞傷害があると考えるが,骨格筋や肝臓など,CK,AST,ALTなど他の遊出酵素データの異常を伴うため,LDのみで緊急対応はあまりない.

次に必要な検査

上記疾患の鑑別のために,他の遊出酵素データ(AST,ALT,CK),LDアイソザイム分析を行う.LD異常高値でASTが高くない,すなわちLD/AST比が非常に高い(>50)場合は,腫瘍由来をまず考えて,全身の精査が必要である.病態と直結しない例については後述する.

低値 失活因子,遺伝性LD-H欠損症のほか,抗腫瘍薬などで白血球が著しく減少している場合や,寝たきりでCKともども低い場合など,通常の状態よりも低値傾向を示すのは,LDが全身の細胞からの遊出酵素であることから理解できる.

次に必要な検査

失活因子や遺伝性欠損は,種々の病態でLDが予想どおり上昇せずデータ判読に影響を及ぼす恐れがあるため,同定しておく必要がある.それぞれ特殊な検査になるため,検査室に相談する.

予想外の値が認められたとき
  • 生理的変動はLD総活性で20~30単位くらい.
  • 赤血球中にはLD含量が高いので,溶血検体では血清LD活性が上昇する.また,血漿の場合は血小板の崩壊によっても正誤差の危険性あり.
  • 臨床所見と合致しない,他の検査データと乖離するLD活性の上昇・低下は,多くの場合免疫グロブリンとの結合による.先天的な酵素欠損も臨床所見や他の検査データとの乖離を示す.特に,LD-Mサブユニット欠損症の発見には,CKの著明な上昇,ASTの上昇に比し,LDの上昇が乏しいという所見も重要なきっかけとなっている.

出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
無断転載を禁止します

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受け、当社が転載しているものです。
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JCCLS共用基準範囲

基準範囲

124~222U/L


JCCLS(日本臨床検査標準協議会)が健常者の大規模調査データをもとに、日本国内で共通に利用可能な基準範囲として設定したもので、日本医師会をはじめとする関連団体の賛同を得て公表された基準範囲です.

製品情報

添付文書記載の測定結果
の判定法

参考基準範囲 血清 125~220U/L(37℃)


*TIETZ Texbook of Clinical Chemistry and Molecular Diagnostics,4th Ed.602(2006).

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