IP,P
項目名称
無機リン
臨床的意義
- 本検査は下記の場合に必要となる.
①腎不全,各種副甲状腺機能低下症,サルコイドーシス,悪性腫瘍骨転移,ビタミンD過剰,先端巨大(末端肥大)症など,IP高値が疑われるとき.
②各種副甲状腺機能亢進症,副甲状腺ホルモン産生腫瘍,ビタミンD欠乏症,尿細管性アシドーシスなど,IP低値が疑われる場合.
- 腎機能が正常の場合,3.2mg/dl以下の血清IPはほとんど尿細管から再吸収される.これ以上の濃度の場合,IPは尿中に排泄されるが,副甲状腺ホルモン(PTH)は尿中へのIP排泄を促進し,血中濃度を低下させる.
- 一方,PTHは骨からの移行カルシウムを上昇させるが,このとき[Ca]×[IP]の溶解度積は一定に保たれる.IPの血清濃度は,①消化管からのIPの吸収,②骨からのIPの血清への移行,③IPの異化,④細胞内外の移行,⑤腎よりのIPの排泄に影響をうける.このため,カルシウムや骨代謝マーカーの測定を行い病態を把握する必要がある.
- 血清IPが高値を示す原因には,過剰なPの摂取,腎臓からの排泄の低下,細胞内から細胞外への移行(異化亢進や組織破壊)などがあり,逆に低値を示す原因に,消化管からの吸収低下,尿中への排泄促進,細胞外から細胞内への移行がある.
基準値・異常値
基準値 |
〈血清〉2.5~4.5mg/dl(成人)、4~7mg/dl(小児参考値) 〈尿〉359~1,050mg/day |
---|---|
高値 |
腎不全,各種副甲状腺機能低下症,サルコイドーシス,悪性腫瘍骨転移,ビタミンD過剰,先端巨大(末端肥大)症など |
低値 | 各種副甲状腺機能亢進症,副甲状腺ホルモン産生腫瘍,ビタミンD欠乏症,尿細管性アシドーシスなど |
予想外の値が認められたとき |
|
出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
無断転載を禁止します
「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受け、当社が転載しているものです。
転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。
JCCLS共用基準範囲
基準範囲 |
2.7~4.6mg/dL JCCLS(日本臨床検査標準協議会)が健常者の大規模調査データをもとに、日本国内で共通に利用可能な基準範囲として設定したもので、日本医師会をはじめとする関連団体の賛同を得て公表された基準範囲です. |
---|
製品情報
Lタイプワコー 無機リン
添付文書記載の |
参考正常値 血清* 成人 2.5~4.5mg/dL 小児 4.8~5.6mg/dL 尿*2 0.5~2.0g/日 *金井 泉,金井正光:「臨床検査法提要」第29版,484-487(金原出版)(1983). *2日本臨床 53巻・1995年増刊号 上巻772-775. |
---|