IgA
項目名称
免疫グロブリンA
臨床的意義
- IgA腎症では50%の症例で血清IgAが高値を示し,循環血中にIgG,IgAの免疫複合体が認められる.
- IgA骨髄腫は多発性骨髄腫全体の25%程度である.
- 慢性肝炎の半数にIgAの増加がみられ,IgGの増加を伴うことが多い.
- 選択的IgA欠損症は成人でもみられ,本来,無症状とされるが,輸血により感作された後,IgAを含むグロブリン製剤や輸血を受けたとき,アナフィラキシーショックを起こすことが報告されている.
- 各種免疫不全,感染症,腫瘍,自己免疫疾患などのモニタリングとして,通常IgG,IgA,IgMの三者を同時に測定することが多い.
- また本検査は,蛋白分画でM蛋白が疑われるとき,血漿蛋白が低値のとき,IgA腎症やIgA型多発性骨髄腫などの経過観察として用いられる.
- 低下の場合,小児の場合は原発性免疫不全を疑い,疾患をもつ場合は続発性の免疫不全を考える.
基準値・異常値
基準値 | 110~410mg/dl |
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高値 |
次に必要な検査IgG,IgMを同時に測定し,M蛋白が疑われる場合は免疫電気泳動を依頼する. |
低値 | Bruton型無γ-グロブリン血症,選択的IgA欠損症,IgA型以外の多発性骨髄腫,悪性リンパ腫,サルコイドーシス,毛細血管拡張型運動失調症(ataxia telangiectasia),分類不能型免疫不全症(common variable immunodeficiency:CVID),ネフローゼ症候群,ステロイド剤連用次に必要な検査IgG,IgMを同時に測定し,M蛋白が疑われる場合は免疫電気泳動を依頼する. |
予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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JCCLS共用基準範囲
基準範囲 |
93~393mg/dL JCCLS(日本臨床検査標準協議会)が健常者の大規模調査データをもとに、日本国内で共通に利用可能な基準範囲として設定したもので、日本医師会をはじめとする関連団体の賛同を得て公表された基準範囲です. |
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製品情報
オートワコー IgA・N
添付文書記載の |
参考正常値* 110~410mg/dL *血清蛋白基準範囲設定プロジェクトチーム:臨床病理,特集101号,207-209(1996). <判定上の注意> |
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