hyaluronate
項目名称
ヒアルロン酸
臨床的意義
- ヒアルロン酸は石綿曝露による悪性胸膜中皮腫で注目され,腫瘍組織中にグリコサミノグリカン(酸性ムコ多糖)の硫酸基を持たない分子種の一つであるヒアルロン酸が多量に含まれていることが特徴とされた.また,癌性の胸水・腹水中でヒアルロン酸が増加することがあり,その鑑別のために測定されることもある.
- 高感度測定法では50ng/mlを肝の線維化マーカーとしてのカットオフ値に設定しており,慢性肝炎の患者に対して経過観察および肝生検の適応の確認を行う場合に保険点数の算定が認められている.しかしながら,加齢により血中濃度が上昇するため,50歳以上の患者に対しては慎重に判定しなければならない.なお,性差や食事による影響はない.また,慢性肝炎と肝硬変のカットオフ値は130ng/mlとされている.
- 強皮症は結合組織での合成亢進,RAは炎症性刺激による滑膜細胞の過形成と合成亢進で,血清ヒアルロン酸の上昇がみられる.RAにおいては特異性と診断効率が優れており,活動性の判定,変形性関節症との鑑別にも有用であると報告されている.
基準値・異常値
基準値 | 血清 50ng/ml以下 |
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高値 |
慢性肝炎活動期,肝硬変,RA(関節リウマチ),強皮症,Werner症候群,癌の結合組織への浸潤,悪性胸膜中皮腫(胸水中) 次に必要な検査超音波検査,X線写真,肝生検,他の線維化マーカー(プロコラーゲンⅢペプチド,Ⅳ型コラーゲン・7S)と比較する. |
予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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製品情報
LTオートワコー ヒアルロン酸
添付文書記載の |
参考カット・オフ値* 130ng/mL(肝硬変) *胡 鵬飛;慢性肝炎、肝硬変の鑑別診断に対する血清線維化マーカーの有用性ー血清ヒアルロン酸、タイプⅣコラーゲンの検討ー肝臓vol.34(11)859-867,1993. <判定上の注意> |
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