D-Bil,DB
抱合型ビリルビン
項目名称
直接ビリルビン
臨床的意義
- 黄疸を認めるときに,その原因がグルクロン酸抱合以前の過程に問題があるのか,抱合後の過程に問題があるのかを評価するために総ビリルビンとともに測定することが多い.近年δ-ビリルビンを除いた抱合型ビリルビンのみの測定法が開発され,普及しつつある.
- 高直接ビリルビン血症(直接ビリルビン≧50%)は,グルクロン酸抱合後の過程における肝・胆道疾患の存在を意味する.すなわち,抱合型ビリルビンの毛細胆管側への肝細胞内輸送障害,毛細胆管への排泄障害,毛細胆管からVater乳頭に至る胆道系の通過障害などが示唆される.
- 肝炎,肝硬変症などの肝細胞障害では,抱合型ビリルビンの胆汁中への排泄障害とともに,摂取,貯蔵,肝細胞内輸送,抱合の諸機能も種々の程度に障害される.肝内胆汁うっ滞では,抱合型ビリルビンおよび胆汁酸の毛細胆管への排泄障害が生じている.
- Dubin-Johnson症候群は,肝細胞の毛細胆管側膜に存在するmultidrug resistance-associated protein 2(MRP2)という輸送蛋白の欠損により,またRotor症候群はビリルビンの肝細胞内輸送に関わるリガンディンという蛋白の欠損により高直接ビリルビン血症をきたす.
- 閉塞性黄疸では,胆道系の炎症や腫瘍により胆汁の小腸への排泄障害が起こり,肝外胆汁うっ滞をきたして高直接ビリルビン血症をきたす.
基準値・異常値
基準値 | 0.0~0.3mg/dl |
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高値 |
急性肝炎,慢性肝炎,劇症肝炎,肝硬変,肝癌,アルコール性肝炎,自己免疫性肝炎,薬剤性肝障害,急性妊娠性脂肪肝,急性肝内胆汁うっ滞,良性反復性肝内胆汁うっ滞,肝膿瘍,レプトスピラ症,原発性胆汁性肝硬変,原発性硬化性胆管炎,閉塞性黄疸(良性:胆道系の炎症および結石,悪性:胆道系および膵頭部の腫瘍),Dubin-Johnson症候群,Rotor症候群,ヘモクロマトーシス,Wilson病,Byler病(乳児),Alagille症候群(乳児),先天性胆道閉鎖症(新生児),新生児肝炎 次に必要な検査
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予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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製品情報
直接ビリルビンE-HAテストワコー
添付文書記載の |
参考正常値* 0~0.4mg/dL *秋山建児,牧野 勲:臨床医,19(増刊号),242-244(1993). |
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