CK
クレアチンホスホキナーゼ(creatine phosphokinase:CPK)
項目名称
クレアチンキナーゼ
臨床的意義
- 臨床的には,心筋疾患の診断,骨格筋疾患の診断などで有用な指標として測定されている.特にCK-MBは心筋特異性がきわめて高く,心筋梗塞の早期診断上有用性が高いことから,臨床現場で頻繁に利用されているのは周知の事実である.このため,CK総活性のみでなくそのアイソザイムも測定することが望ましい.またCK-MMアイソフォーム(CK-MM1,MM2,MM3)とCK-MBアイソフォーム(CK-MB1,MB2)の存在が確認されており,CK-MMアイソフォーム分画比(MM1/MM3)が急性心筋梗塞の早期診断に応用できる.
- 骨格筋疾患では,特にDuchenne型筋ジストロフィー症でCK活性が上昇し,診断に用いられる.また近年は,高脂血症治療薬であるHMG-CoA還元酵素阻害薬の副作用として横紋筋融解症がみられることが注目されており,その副作用発現を確認する意味でCK活性が測定される.
- 中枢神経系組織にはCK活性が多量に含まれ,その多くの割合を占めるアイソザイムはCK-BBであることはすでに知られているが,脳血管疾患,脳梗塞,脳炎などではCK活性の顕著な上昇は実際にはほとんど認められない.これは,血液脳関門が血中への酵素遊出を阻止するためと,CK-BBの半減期の短さとに原因するものと考えられている.
- さらにCK-BBやマクロCKが平滑筋の悪性腫瘍で血中に出現する例があり,この場合は経過観察のために,腫瘍マーカーとして用いることができる.
- CK活性の測定によって,骨格筋,心筋,あるいは中枢神経系などの障害の程度を推測することができるが,さらにアイソザイム測定を行うことにより,障害された臓器の局在を推測することも可能である.
- アイソザイムに関しての詳細は他のCKアイソザイムの項目に譲る.
基準値・異常値
基準値 | 血清 男性30~190IU/l,女性20~150IU/l |
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高値 |
心疾患(急性心筋梗塞,心筋炎,開心術後),骨格筋疾患(進行性筋ジストロフィー,横紋筋融解症,多発性筋炎,筋萎縮性側索硬化症,皮膚筋炎,先天性筋緊張症など),外傷,甲状腺機能低下症,痙攣,熱射病,中枢神経系疾患(脳血栓,脳梗塞,脳損傷など),悪性高熱,悪性腫瘍,筋肉内注射,運動など Critical/Panic value
【CK 5,000IU/l以上】 【CK 50,000IU/l以上】 次に必要な検査心疾患と,それ以外の骨格筋疾患以下の疾患群とでは,次に行うべき検査は当然異なってくるが,一般的にCK活性測定の目的は特に心疾患に重きを置いているため,ここでは心疾患の場合に次に行うべき検査を列挙する. |
低値 | 老人や長期臥床では筋肉量が減少するため,成人よりも10~20%少ない.また,男女間においても女性の方が男性よりも低値の傾向がある.その他,甲状腺機能亢進症,妊娠などで低値を示す.次に必要な検査甲状腺機能亢進症が疑われる場合はFT3,FT4,TSH,TSH受容体抗体,抗甲状腺抗体などを測定する. |
予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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JCCLS共用基準範囲
基準範囲 |
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製品情報
Lタイプワコー CK
添付文書記載の |
正常参考値* *川村憲弥,奥住裕二,森三樹雄:医学検査,44(9),1416-1421(1995). |
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