ChE
ブチリルコリンエステラーゼ,偽コリンエステラーゼ,血清コリンエステラーゼ
項目名称
コリンエステラーゼ
臨床的意義
- 本検査は次のような場合に実施する.
①スクリーニング検査として.
②肝機能検査として.
③有機リン中毒(農薬中毒),サリン中毒が疑われる場合. - 血清ChE活性が低下している場合,その原因は2つに大別される.一つは,先天的な遺伝性変異によるもので,もう一つは種々の病態によって引き起こされる二次的なものである.
- 次に,低ChE血症の程度によって考えるべき原因が若干異なるので,その点を考慮する.すなわち,ChE活性がほとんど検出されない場合,二次的な原因としては農薬(有機リン剤)中毒か重度の肝機能障害である.いずれも,臨床症状などの患者の状態,他の検査データなどからうかがうことが可能である.それらの可能性が否定されれば,ほぼ確実にサイレント型遺伝子のホモ接合体であるといえる.
- 一方,ChE活性がゼロではなく,中程度に低下している場合,異常値を呈する疾患に掲げたような低ChE血症の原因のいずれも可能性がある.しかし,病態から原因となる疾患が考えづらい場合,遺伝性変異の可能性が高い.実際,サイレント型遺伝子のヘテロ接合体はわが国では少なくとも150~200人に1人の頻度と推測されるため,低ChE血症の原因としてもけっして少ないものではない.したがって,これらの遺伝性低ChE血症も,原因の一つとして考慮する必要はある.
- 逆に高値の場合は,ネフローゼ症候群や脂肪肝が疑われるが,遺伝的なC5変異などの可能性も否定できない.
基準値・異常値
基準値 | 200~495IU/l |
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高値 |
ネフローゼ症候群,過栄養性脂肪肝,C5変異などの遺伝性多型や変異 次に必要な検査背景にある病態の診断のために血清蛋白量,尿蛋白量,肝臓超音波検査など. |
低値 |
【低値】肝硬変など肝機能障害,癌,心筋梗塞,慢性消耗性疾患,慢性感染症,栄養障害 Critical/Panic value 次に必要な検査他の肝機能検査(特にアルブミンやコレステロール,凝固検査)と組み合わせた病態診断. |
予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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JCCLS共用基準範囲
基準範囲 |
M 240~486U/L,F 201~421U/L JCCLS(日本臨床検査標準協議会)が健常者の大規模調査データをもとに、日本国内で共通に利用可能な基準範囲として設定したもので、日本医師会をはじめとする関連団体の賛同を得て公表された基準範囲です. |
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製品情報
Lタイプワコー ChE・J
添付文書記載の測定結果 |
参考基準範囲* [ヒト血清中酵素活性測定の勧告法 -コリンエステラーゼ- より] *日本臨床化学会:臨床化学,32,162-179(2003). |
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