補体価
項目名称
CH50
臨床的意義
- CH50は病態への補体系の関与を推測するスクリーニング検査として重要である.高補体価より低補体価が臨床的には重要であり,免疫複合体疾患,慢性肝疾患,補体成分欠損症などで低下する.
- 補体価の低下は,①血中免疫複合体による補体系の活性化,②補体蛋白成分の産生低下,③異化の亢進,④先天的補体欠損,異常症などによるが,臨床的に重要なのは補体系の活性化と補体欠損症である.
- 補体古典経路の活性化ではCH50とともにC4,C3の両成分が低下する.一方,補体第2経路の活性化では,C3低下が優位でC4は正常のことが多い.
- 著しい肝機能障害では肝臓における補体産生が障害されC3,C4ともに低下する.慢性肝炎,肝硬変で高頻度に認められる補体cold activationは採血後,保存中にクリオグロブリンなどにより補体が活性化される現象であり,CH50は低下するがC3,C4は正常値を示す.
- 補体成分欠損症ではC9欠損症を除き著しい低CH50を示す.C9欠損症ではCH50は10~15U/mlを示すことが多いが,炎症性疾患の合併時には逆に高値を示すことがある.
基準値・異常値
基準値 | 30~46U/ml(参照値) |
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高値 |
リウマチ熱,関節リウマチ,血管炎症候群,感染症などの炎症性疾患,悪性腫瘍など. 次に必要な検査臨床所見,CRP,SAAなどの血液検査を参考に次の検索を進める.臨床的意義は少ない. |
低値 |
次に必要な検査C3,C4などの補体成分の測定を行う.SLEなどの免疫複合体疾患が疑われる場合には免疫複合体を測定する.経過を追ってCH50,C3,C4を測定する.補体cold activationではEDTA血漿による再検. |
予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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製品情報
補体価ーHAテストワコー
添付文書記載の |
参考正常値* 血清 31.6~57.6U/mL *藤尾一功,長尾健次,白石尚美:医学と薬学,67(2),291-295(2012). <判定上の注意> |
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