Ca
項目名称
カルシウム
臨床的意義
- 本検査は下記の場合に必要となる.
①ビタミンDや副甲状腺の過剰や不足,腎臓疾患,甲状腺疾患,副腎疾患などの内分泌疾患による血清Caの異常を調べるとき.
②骨粗鬆症,骨髄腫,悪性腫瘍の骨転移など,骨代謝障害による血清Caの異常を調べるとき.
③意識障害,心電図異常,膵炎,敗血症などの徴候・疾患で,これらに関連して血清Caの異常の有無を知りたいとき.
- 血清Ca値の調節は,Ca調節ホルモン(副甲状腺ホルモン)やビタミンDにより影響される.過剰な血清中のCaは腸管に分泌されて,便中に排泄されるため,尿中排泄量は比較的一定であり,ほぼ血清Ca値と平行する.
- 血清Caの高値の大半は副甲状腺機能亢進症か悪性腫瘍に伴うものである.悪性腫瘍に伴うCa高値は腫瘍の産生する液性因子による場合と,腫瘍による転移性骨病変(骨破壊)によるものがある.一方,低Ca血症は,高P血症を伴う場合は副甲状腺機能低下症か腎不全があり,低P血症を伴う場合はビタミンD欠乏を考慮する.
- 細胞機能や骨代謝に役割を果たすのはイオン化Caであり,残りはアルブミンと結合している.低アルブミンの場合は,これを補正して評価する.
補正Ca(mg/dl)
=血清Ca(mg/dl)-血清アルブミン(g/dl)+4
(補正Ca:8~10.2mg/dl)
基準値・異常値
基準値 |
〈血清〉8.2~10.0mg/dl(ο-CPC)、8.8~10.2mg/dl(MXB) 〈尿〉0.10~0.30g/day |
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高値 |
甲状腺ホルモンまたは類似物質の過剰(原発性副甲状腺機能亢進症,悪性腫瘍など),ビタミンDまたは類似物質の過剰(ビタミンD中毒,サルコイドーシスほか),骨代謝異常(悪性腫瘍の骨転移,多発性骨髄腫など),原因不明のカルシウム排泄障害(腎不全,ミルク・アルカリ症候群など),その他(甲状腺機能亢進,褐色細胞腫,Addison病など) Critical/Panic value |
低値 |
副甲状腺ホルモンの欠乏または作用不全(副甲状腺機能低下症),ビタミンDおよびその誘導体の欠乏および作用不全(ビタミンD欠乏,アミロイドーシスなど),その他(急性膵炎,敗血症など) Critical/Panic value |
予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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JCCLS共用基準範囲
基準範囲 |
8.8~10.1mg/dL JCCLS(日本臨床検査標準協議会)が健常者の大規模調査データをもとに、日本国内で共通に利用可能な基準範囲として設定したもので、日本医師会をはじめとする関連団体の賛同を得て公表された基準範囲です. |
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製品情報
Lタイプワコー Ca
添付文書記載の |
参考正常値 血清* 8.7~11.0mg/dL(4.3~5.5mEq/L) 尿*2 100~300mg/日(50~150mEq/日) *玄番昭夫,有馬 純:臨床病理 特集 17,71-83(1970). *2和田誠基:日本臨床68巻 増刊号 広範囲 血液・尿化学検査,免疫学的検査(第7版)2,279-283(2010). |
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カルシウムE-HAテストワコー
添付文書記載の |
参考正常値 血清・血漿*3 8.8~10.2mg/dL(4.4~5.1mEq/L) 尿*4 100~300mg/day *3 当社社内データ *4吉澤一太:尿検査マニュアル133-135(1991)(医歯薬出版). |
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