β2m
β2-マイクログロブリン,β2-MG,BMG
項目名称
β2-ミクログロブリン
臨床的意義
- 血中濃度を評価するとき,産生側の要因と異化(腎機能,GFRの影響)の要因を総合的に評価しなければならない.産生の増加とは基本的に腫瘍や炎症性疾患でβ2-mを表現している細胞が増加する,もしくは細胞あたりのβ2-m表現が増加する場合である.実際に観察されるのは,多発性骨髄腫やリンパ性白血病,リンパ腫というリンパ球・形質細胞系の疾患が多い.自己免疫疾患や炎症性疾患でも増加するのはこの理由による.この中で疾患の病勢との関連が最も明確なのは多発性骨髄腫で,診断時の血中β2-m濃度が6mg/l以上を示す例では予後不良とされている.
- 血中濃度はGFRとよく相関するため,GFRの代用としても用いられる.血液透析患者ではアミロイドーシスの予防のためβ2-m濃度を低下させる工夫もなされており,その評価として測定されることもある.
- 尿中β2-m濃度の評価は,血中β2-m濃度の増加の有無と,尿細管再吸収能を総合的に評価しなければならない.上記血中β2-m濃度を増加させる病態で,一時的にせよ尿細管再吸収能を上回る量が糸球体を通過すれば,原則的には尿中β2-m濃度は増加する.感冒などでも増加することがある.つまり半減期が短いため血中の変化では捉えきれないことが尿で観察されやすい.この点では血液採取の難しい小児などで測定してみてもよい.腎尿細管障害としては重金属中毒,薬剤副作用,急性尿細管壊死,Fanconi症候群,糖尿病腎症など他の腎疾患で増加する.
基準値・異常値
基準値 | 〈血清〉0.8~1.8mg/l、〈尿〉約200μg/l以下 |
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高値 |
〈血清〉
血液透析
腎機能不全,悪性腫瘍(特に多発性骨髄腫,リンパ系腫瘍),自己免疫疾患,炎症性疾患 次に必要な検査腎機能に関する検査(クレアチニン,シスタチンC,各種腎クリアランス),悪性腫瘍に関する検査,骨髄像など. 〈尿〉
次に必要な検査腎の画像検査. |
予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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製品情報
LTオートワコー β2m
添付文書記載の |
参考正常値* 血清 尿(1日排泄量) *日本臨床57巻・1999年増刊号(1),110-112,236-238. <判定上の注意> |
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