略称
γ-GT
別名
γ-GTP,GGT,γ-グルタミルトランスフェラーゼ
項目名称
γ-グルタミルトランスペプチダーゼ
臨床的意義
- 肝障害の疑われるとき,胆汁うっ滞の指標として用いる.
- 基準範囲を求める際に,飲酒者を健常人に入れるかどうかで基準範囲は異なる.健診分野では非飲酒者での基準範囲を設定すべきであるが,男性70~80IU/l以下,女性40IU/l以下に設定する施設が多い.女性は飲酒者の比率が少なく,女性ホルモンがγ-GTの産生を抑制することから低値に設定されている.
- 平成20年からの特定健診では性差に関係なく51IU/l以上が保健指導,101IU/l以上が受診推奨の判定値として設定される.
- アルコール性肝障害で早い時期に上昇し,おおむねアルコール性脂肪肝で100~300IU/l,アルコール性肝線維症・肝硬変では200~500IU/l,アルコール性肝炎では500IU/l以上の上昇を示す.しかし,γ-GT値と飲酒量は平行せず,肝病変の進行度との相関もない.禁酒によって速やかに低下する(2週間で半減).
- ALP同様胆道系酵素であり,胆石・胆道系悪性腫瘍などの胆道の閉塞状態で上昇する.
- ウイルス性慢性肝炎,肝硬変の活動性の高い状態でトランスアミナーゼと平行して軽度の上昇を示し,1~3ヵ月遅れて徐々に低下する.
- 肝癌がγ-GTを産生し高値を示すこと,薬物性肝障害で上昇することもある.
基準値・異常値
基準値 | 男性70IU/l以下,女性40IU/l以下 |
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高値 |
アルコール性肝障害,慢性肝疾患,肝癌,慢性膵炎,薬剤の長期投与で上昇 次に必要な検査
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予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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JCCLS共用基準範囲
基準範囲 |
M 13~64U/L,F 9~32U/L JCCLS(日本臨床検査標準協議会)が健常者の大規模調査データをもとに、日本国内で共通に利用可能な基準範囲として設定したもので、日本医師会をはじめとする関連団体の賛同を得て公表された基準範囲です. |
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