Fbg,凝固第Ⅰ因子
項目名称
フィブリノゲン
臨床的意義
- フィブリノゲンは出血傾向あるいは血栓傾向のスクリーニング検査,術前検査として,血小板数,APTT,PTとともに測定される.
- 高値を示す場合
①生理的増加:高齢者,妊娠,エストロゲン製剤の服用,運動後に増加傾向を示す.
②後天的増加:組織の炎症や崩壊(感染症,悪性腫瘍,脳梗塞,心筋梗塞,手術後,膠原病など)で増加する.糖尿病やネフローゼ症候群でも増加傾向を示す.フィブリノゲンを含む血漿分画製剤の使用後や,ヘパリン投与中止後にも増加する.フィブリノゲンが著増すると血漿の粘稠度が上昇し,700mg/dlを超えると血栓形成傾向を示すようになる. - 低値を示す場合
①生理的減少:新生児
②先天的減少:無(低)フィブリノゲン血症,一部の異常フィブリノゲン血症.
③後天的減少:播種性血管内凝固症候群(DIC)や巨大血栓症,大量出血,蛇毒(デフィブラーゼ)投与では消費性にフィブリノゲンが減少する.ショック(感電),手術侵襲,DICその他の病態での線溶亢進によりフィブリノゲン分解が亢進し減少する.慢性肝炎や肝硬変のような重症肝障害ではフィブリノゲンの産生低下により減少を示す.
基準値・異常値
基準値 | 150~400mg/dl |
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高値 |
次に必要な検査フィブリノゲンが高値を呈する病態は広範であるが,多くは,炎症,組織崩壊などに伴う二次性の増加である.したがって,フィブリノゲンが増加している原因の検索ではなく,基礎疾患/病態に対する検査計画が立てられなければならない. |
低値 |
【50mg/dl以下】 出血傾向が出現するようになるので,原因に応じた対応を早急にとる必要がある. 次に必要な検査
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予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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製品情報
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添付文書記載の |
参考基準範囲* 200~400mg/dL 基準範囲は検査対象の母集団によって異なりますので、各検査室で基準範囲を設定することをおすすめします. *金井正光(編著),金井泉(原著):臨床検査法提要(改訂第30版),金原出版,422(1993) |
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