APTT
項目名称
活性化部分トロンボプラスチン時間
臨床的意義
- APTTに影響を与えるのは,内因系凝固因子(F.ⅩⅡ,ⅩⅠ,Ⅸ,Ⅷ,プレカリクレイン,高分子キニノゲン),共通系凝固因子(F.Ⅹ,Ⅴ,Ⅱ,Ⅰ),およびvon Willebrand因子である.これらの因子の量的質的異常による活性低下,あるいはこれらの因子に対するインヒビターの存在によりAPTTは延長を示すので,出血傾向のスクリーニング検査として有用である.
- 出血素因の中でも特に二次止血,すなわち凝固線溶系の異常を疑うときに,スクリーニング検査として施行し,PTと併せて結果を判定する.APTTが延長する代表的な疾患が,血友病A(F.Ⅷ欠乏),B(F.Ⅸ欠乏)である.
①APTT延長,PT正常:F.ⅩⅡ,ⅩⅠ,Ⅸ,Ⅷ,プレカリクレイン,高分子キニノゲンなど内因系凝固因子の異常を疑う.ただし各凝固因子活性が20~40%あれば基準値以下にはならない.また,F.ⅩⅡ,プレカリクレイン,高分子キニノゲンの欠乏症ではAPTTは延長するが,臨床的に出血傾向はみられない.
②APTT延長,PT延長:F.Ⅹ,Ⅴ,Ⅱ,Ⅰなどの共通系凝固因子の異常を疑う. - 複合性凝固障害(重症肝障害,DICなど)を疑うとき,あるいはその程度を知りたいときに検査する.
- 抗凝固療法(例:DIC時のヘパリン)のコントロール指標として検査する.
- 各凝固因子活性が正常かつAPTT延長がみられれば,循環抗凝血素の存在を考える.
基準値・異常値
基準値 | 27.1~40.9秒 |
---|---|
高値 |
血友病A(F.Ⅷ),B(F.Ⅸ)をはじめ,他の内因系および共通系凝固因子(F.Ⅰ,Ⅱ,Ⅴ,Ⅹ,ⅩⅠ,ⅩⅡ)・高分子キニノゲン・プレカリクレインの先天性欠乏症および分子異常症,重症肝障害,ビタミンK欠乏症,線溶亢進,播種性血管内凝固症候群(DIC),抗リン脂質抗体症候群(ループスアンチコアグラントの存在),循環抗凝血素の存在,抗凝固療法,von Willebrand因子の減少 次に必要な検査
|
予想外の値が認められたとき |
|
出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
無断転載を禁止します
「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受け、当社が転載しているものです。
転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。
製品情報
ドライヘマト APTT-2
添付文書記載の |
参考基準範囲 24~40秒 この値は、血漿検体をドライヘマト APTT-2で測定した時の値です.基準範囲は検査対象の母集団によって異なりますので、各検査室で基準範囲を設定することをおすすめします. |
---|