TPOAb
甲状腺ペルオキシダーゼ抗体,抗TPO抗体,マイクロゾームテスト
項目名称
抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗マイクロゾーム抗体)
臨床的意義
- 橋本病・Basedow病などの自己免疫性甲状腺疾患の診断・病態把握に有用である.
- 自己免疫性甲状腺疾患での陽性率は,橋本病では90~100%,Basedow病では75~90%と報告されており,他の甲状腺自己抗体より高い.橋本病,Basedow病ともに高率に陽性となるため,測定値にかかわらず両者の鑑別に用いることはできない.
- 一般成人での陽性率は約10%であり,加齢とともに30%近くに上昇するため,本抗体陽性のみでは自己免疫性甲状腺疾患とは診断できないが,抗体陽性かつ甲状腺腫または甲状腺機能異常が存在する場合には診断できる.
- 抗TPO抗体に限らず何らかの抗甲状腺自己抗体が陽性の場合には,①妊婦では2/3に出産後甲状腺機能異常を生じる,②インターフェロン治療後の甲状腺機能異常発生率が高い,③潜在性甲状腺機能低下症では自己抗体陰性者よりも約2倍高率に顕性低下症に移行する,などの報告がある.したがって,抗甲状腺自己抗体が陽性の場合は甲状腺機能の経過観察が必要である.
- Basedow病の抗甲状腺薬治療時にTSHレセプター抗体とともに変動すること,橋本病の疾患活動性と相関すること,無痛性甲状腺炎の経過中に変動することなどから,自己免疫性甲状腺疾患の疾患活動性の評価にもある程度有用である.そのほか,橋本病に対する甲状腺ホルモン補充治療により低下すること,妊娠中に低下し産後上昇すること,Basedow病アイソトープ治療後に一過性に上昇することなどが知られている.甲状腺癌患者の15%で弱陽性となるが,組織破壊によるものと考えられる.
- 甲状腺原発悪性リンパ腫は橋本病患者では70倍以上のリスク上昇が報告されており,急速に増大する甲状腺腫で本検査が陽性の場合は本症についての検討が必要である.
- 保険上,抗TPO抗体(RIA,EIA,CLIA)とマイクロゾームテスト(PA)を同時に測定した場合は,主たるもののみの算定となる.
基準値・異常値
基準値 | RIA:0.3U/ml未満、EIA:0.3U/ml未満、CLIA:4.3IU/ml以下、PA:100倍未満 |
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高値 |
【陽性】
次に必要な検査甲状腺機能検査. |
出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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製品情報
アキュラシード TPOAb
添付文書記載の |
参考正常値 12IU/mL以下(血清) (160例で測定して得られた場合の参考正常値) <判定上の注意> ・参考正常値は、測定条件や検体によって異なる場合がありますので、各施設で設定することが望まれます. |
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