PTH-intact
項目名称
副甲状腺ホルモンインタクト
臨床的意義
- PTHの測定は,血清カルシウム濃度に異常が存在する場合に,その原因疾患の鑑別のために測定する.したがってPTH値の評価にあたっても,常に血清カルシウム濃度とともに検討する必要がある.
- 高カルシウム・高PTH血症:高カルシウム血症にもかかわらずPTH分泌が抑制されていないことは,副甲状腺でのPTH分泌調節に異常が存在し,高PTH血症が高カルシウム血症の原因であることを示している.該当する疾患は,副甲状腺腺腫,過形成,あるいは癌による原発性副甲状腺機能亢進症,カルシウム感知受容体不活性型変異などによる家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症,まれではあるが異所性PTH産生腫瘍である.
- 低カルシウム・高PTH血症:低カルシウム血症により二次的に副甲状腺からのPTH分泌が亢進した状態である.各種の原因による二次性副甲状腺機能亢進症とPTH反応性の低下から低カルシウム血症をきたす偽性副甲状腺機能低下症が該当する.
- 低カルシウム・低PTH血症:低カルシウム血症にもかかわらずPTH分泌が亢進していないことは,PTH分泌障害が存在し,低PTH血症が低カルシウム血症の原因であることを示している.
- 高カルシウム・低PTH血症:高カルシウム血症による二次的なPTH分泌抑制状態を示している.悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症やサルコイドーシス,不動性,活性型ビタミンD3製剤の過剰投与などが相当する.
基準値・異常値
基準値 | 10~65pg/ml(メジフィジックス社キット) |
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高値 |
原発性副甲状腺機能亢進症,二次性副甲状腺機能亢進症(以下の病態に伴う低カルシウム血症:慢性腎不全,ビタミンD欠乏,ビタミンD依存症,hungry bone症候群,骨形成性骨転移,急性膵炎,ビスホスホネート使用時など),家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症,異所性PTH産生腫瘍,偽性副甲状腺機能低下症 |
低値 |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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製品情報
アキュラシード インタクトPTH
添付文書記載の |
参考基準範囲* 10~65pg/mL <判定上の注意> ・基準範囲は様々な要因により変動する可能性がありますので、各施設にて適した値を設定して下さい. ・検体中に非特異反応物質(異好性抗体等)が存在する場合は、正しい測定結果が得られない場合があります.測定結果に基づく臨床診断は、臨床症状や他の検査結果等と合わせて担当医師が総合的に判断して下さい. *佐藤幹二:日本臨牀(増刊号、第7版),68,317-320(2010) |
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