IRI(immunoreactive insulin)
項目名称
インスリン
臨床的意義
- 75gブドウ糖負荷試験の血糖値によって糖尿病の診断はつく.その際,インスリン分泌反応を調べることにより,インスリン分泌の低下したインスリン依存型糖尿病(IDDM)か,インスリン分泌が保たれたインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)かの区別も可能である.
- 食後30分後の血糖,インスリン増加量はインスリン依存性,非依存性の鑑別に役立つ.
II(insulin index)=⊿IRI(μU/ml)/⊿PG(mg/dl)
0.5以下なら,インスリン低分泌と判定される. - インスリン低値で血糖高値:1型糖尿病,進行した2型糖尿病.
- インスリン低値で血糖低値:低栄養,飢餓,インスリン抵抗性ホルモン(GH,ACTH)の低下.
- インスリン高値で血糖低値:インスリノーマ,抗インスリン抗体によるインスリン測定値への影響.IRIはインスリノーマの診断に重要で,空腹時の血糖値に比べて比較的高値であるのが特徴.
- インスリン高値で血糖高値:肥満,2型糖尿病,インスリン抵抗性増加(Cushing症候群,成長ホルモン過剰).
- 2型糖尿病の一部は,インスリン抵抗性がある.その判定にはHOMA指数(homeostasis model assessment-insulin resistance)が用いられる.
HOMA-IR=IRI(μU/ml)×FPG(mg/dl)/405
3以上でインスリン抵抗性の疑い,5以上でインスリン抵抗性と診断できる. - IRIは,食事によって影響を受けるので,必ず食後何時間であるか,入院患者であればブドウ糖点滴の有無をチェックする.
- インスリン注射を受けている患者では,IRIによって,内因性のインスリン分泌は正確に測定できない.
基準値・異常値
基準値 | 5~11μU/l |
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高値 |
肥満型糖尿病,インスリノーマ,インスリン自己免疫症候群,インスリン抗体(外因性インスリン注射による),インスリン抵抗性因子(Cushing症候群,成長ホルモン過剰),インスリン受容体異常症,肝硬変,腎不全 |
低値 | インスリン依存型糖尿病(IDDM),重症型糖尿病,膵摘術後,飢餓状態 |
予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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製品情報
アキュラシード インスリン
添付文書記載の |
参考正常値* 1〜11μIU/mL以下(血清) <判定上の注意> ・参考正常値は、測定条件や検体によって異なる場合がありますので、各施設で設定することが望まれます. *根本成之 他:臨床検査ガイド2007~2008,484(2007) |
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