項目名称
HBs抗原
臨床的意義
- 本検査は下記の場合に行われる.
①HBVによる肝疾患が疑われる際のスクリーニングとして用いる.
②医療従事者などの針事故の際のスクリーニング,経過のフォローアップの際にも用いられる.検査結果の評価の際には,ウイルス感染のウィンドウ期の存在に留意する. - 本抗原陽性は血液中にHBVが存在し,HBVの感染状態であることを意味する.高値の場合ウイルス量が多いと考えられるが,必ずしもウイルス量とは一致しない.HBs抗原量を経過観察し,減少していく症例は急性肝炎,持続陽性の症例は慢性肝炎とする.通常,6ヵ月以上HBs抗原が陽性であれば慢性HBV感染と判定する.
- ただし,まれではあるが,HBs抗原のエピトープ部位に変異があり,通常の測定法ではHBs抗原が陰性となる変異株(escape mutant)の報告もある.すなわち,HBVが存在していても,HBs抗原が陰性である症例が存在するが,この場合でもHBc抗体は陽性である場合が多い.また,重症型の急性肝炎症例において,炎症の極期で一過性にHBs抗原が陰性となる場合が存在するので注意を要する.この場合は比較的早期にHBs抗体が陽性となる.
今後の検査の進め方
- HBs抗原が陽性の場合は,HBe抗原,HBe抗体,HBV-DNA定量(HBV-DNA genotypeの評価)を行い,HBVの活動性・病態を評価する.同時に,肝機能検査を行って病態を総合的に評価をしたうえで,『B型肝炎治療の標準化に関するガイドライン』にしたがって,今後の診療方針を決定する.
基準値・異常値
基準値 | MAT:8倍未満(陰性)、CLIA:0.05IU/ml未満 |
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高値 |
B型肝炎ウイルス(HBV)感染者(B型急性肝炎,無症候性HBVキャリア,慢性B型肝炎,B型肝硬変など) |
予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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製品情報
アキュラシード HBs抗原
添付文書記載の |
0.05IU/mL以上は陽性、0.05IU/mL未満は陰性 (当社社内データ) <判定上の注意> ・感染後であってもHBs抗原量が極めて少ない場合や、極めて稀ですが変異によって本品に使用している抗体が認識できない場合などについては、本品での判定が陰性となる場合があります.また、検体中に非特異反応物質(異好性抗体等)が存在する場合は、正しい測定結果が得られない場合があります.判定結果及び測定値に基づく臨床診断は、臨床症状や他の検査結果等と合わせて担当医師が総合的に判断して下さい. ・非特異反応等によって偽陽性が疑われる検体については、必要に応じてアキュラシード HBs抗原用確認試薬セット(別売品)を使用して確認して下さい.なお、使用に際してはアキュラシード HBs抗原用確認試薬セットの現品説明書を参照して下さい. |
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