HBs抗体
項目名称
抗HBs抗体
臨床的意義
- 本検査は下記の場合に行われる.
①HBVの感染歴があるかどうかを評価する場合.
②HBワクチンの効果を評価する場合(HBs抗原陽性の母親から生まれた子に対するHBワクチンの効果の評価を含む).
③医療従事者などが針刺し事故を起こした場合(HBIGおよびHBワクチンを行うかどうかを検討する際). - 本抗体陽性はHBVの既感染を意味する.HBVの一過性感染(急性肝炎)では,HBs抗原消失後,かなりの期間を経てからHBs抗体が出現する(ただし,HBs抗体が出現しない例が10~15%に認められる).HBs抗体はHBVの中和抗体であり,この抗体が陽性の場合,原則としてHBVの再感染は起こらない.
- ただし,HBV-DNA定量の結果が検出感度以下であってもHBV量は0ではなく,ゲノムレベルでは存在することを銘記すべきである.
- 悪性腫瘍症例に対する化学療法,臓器移植症例に対する免疫抑制療法を行う場合には,治療開始前にHBs抗原・HBs抗体・HBc抗体をチェックし,いずれかが陽性である場合には,経口抗ウイルス薬の併用を検討する必要がある.
- HBワクチンの接種症例においては,HBVに対する中和抗体を獲得したことを意味する.ワクチンの接種は3回行うのが原則であるが,抗体が獲得できない例(Non Responder)もある.ワクチン接種によりHBs抗体を獲得した症例では,HBVの既感染症例(HBs抗体,HBc抗体)とは異なり,HBc抗体は陰性である.
基準値・異常値
基準値 | PA:4倍未満(陰性)、CLIA:10.0IU/ml未満 |
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高値 |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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製品情報
アキュラシード HBs抗体
添付文書記載の |
参考基準範囲* 陰性 10mIU/mL未満 陽性 10mIU/mL以上 <判定上の注意> ・感染後であっても抗体が産生されていない場合や、産生されていても少量の場合には、本品での判定が陰性となる場合があります.また、検体中の非特異反応物質が存在する場合は、正しい測定結果が得られない場合があります.測定結果に基づく臨床診断は、臨床症状や他の検査結果と合わせて担当医師が総合的に判断して下さい. ・非常に高濃度のHBs抗体を含む検体については、偽低値を示す可能性がありますが、およそ350000mIU/mLの濃度までは1000mIU/mLを下回ることはありません. ・ワクチン接種等における測定値の管理には、測定系によって測定値が一致しない場合がありますので、同一の測定試薬を使用して下さい. *World Health Organization:Recommendations to Assure the Quality, Safety and Efficacy of Recombinant Hepatitis B Vaccines,2010. |
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