Kendall's compound F
項目名称
コルチゾール
臨床的意義
- コルチゾール分泌増加の徴候(中心性肥満,月経異常,伸展性皮膚線条,多毛症,【座】瘡,筋力低下,骨粗鬆症,精神障害や成長遅延など)や一般検査所見(低K血症,耐糖能異常,好中球増多),逆に分泌低下の徴候(全身倦怠感,悪心,嘔吐,低血糖,精神症状)や一般検査所見(低Na血症,高K血症,好酸球増多)があるとき,および副腎偶発腫がある場合にも測定する.
- 高値の疾患は血中ACTHの高低により分類する.Cushing病やACTH産生腫瘍ではACTHの過剰分泌によりコルチゾール合成分泌が亢進する.また原発性コルチゾール不応症ではフィードバック調節がかからず,ACTHの分泌亢進を介して高コルチゾール血症となる.アルコール多飲,うつ病,神経性食欲不振症では高コルチゾール血症とともに日内リズム消失やデキサメサゾン抑制試験陽性などCushing病と同様の所見を示す(pseudo Cushing症候群).一方,Cushing症候群では腫瘍からのコルチゾールの自律的分泌がありACTH分泌は抑制される.そのほかに妊娠後期などCBGが増加する病態がある.
- 低値の疾患も血中ACTHの高低により分類する.Addison病では副腎皮質の破壊により,先天性副腎皮質過形成や薬剤(メチラポンなど)投与中では副腎皮質ステロイドの合成障害により低コルチゾール血症となるが,いずれも高ACTH血症を伴う.続発性副腎皮質機能低下症やデキサメサゾン投与ではACTHの低下により低コルチゾール血症を呈する.
基準値・異常値
基準値 | 5.0~17.9μg/dl(早朝空腹時) |
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高値 |
Cushing病,異所性ACTH産生腫瘍,CRH産生腫瘍,グルココルチコイド不応症,アルコール多飲,うつ病,神経性食欲不振症,副腎腺腫によるCushing症候群,副腎癌,ヒドロコルチゾン投与,妊娠後期 次に必要な検査採血時のストレスに注意し,血中ACTHを同時測定し,下垂体-副腎系のどこに障害があるか判定する.コルチゾール高値でACTHが10pg/ml以上ではACTH依存性Cushing症候群を,10pg/ml未満ではACTH非依存性Cushing症候群を疑う. |
低値 | 原発性副腎皮質機能低下症(Addison病),すべての先天性副腎皮質過形成,薬剤(メチラポン,トリロスタン,ミトタン)の投与,先天性副腎皮質低形成,視床下部性下垂体機能低下症(脳腫瘍,サルコイドーシス),下垂体性下垂体機能低下症(下垂体腫瘍,Sheehan症候群,ACTH単独欠損症,リンパ球性下垂体炎),デキサメサゾン投与次に必要な検査服薬歴を聴取し,血中ACTHを同時測定して検討する.コルチゾール低値でACTHが10pg/ml以上なら原発性副腎不全を,10pg/ml未満なら続発性副腎不全を疑う. |
予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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製品情報
アキュラシード コルチゾール
添付文書記載の |
参考正常値* 4.0~18.3μg/dL <判定上の注意> 検体中に非特異反応物質(異好性抗体等)が存在する場合は、正しい測定結果が得られない場合があります.測定結果に基づく臨床診断は、臨床症状や他の検査結果等と合わせて担当医師が総合的に判断して下さい. *臨床検査法提要 改訂第33版,670(2010). |
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