LCA親和性AFP分画
項目名称
血清AFP-L3分画比
臨床的意義
- 肝細胞癌と慢性肝炎,肝硬変との鑑別や,肝細胞癌の治療効果の判定および予後の指標に利用される.
- 近年,各種画像診断法の進歩やhigh risk groupにおける定期検査の普及に伴い,早期肝細胞癌が発見されるようになった.その結果,肝細胞癌の約70%がAFP値200ng/ml以下で診断されている.慢性肝炎や肝硬変の一部でもAFP値の上昇がみられるが,約80%が400ng/ml以下,約60%が200ng/ml以下であるため,肝細胞癌との鑑別が問題になる.AFPの糖鎖は癌化に伴って変化しL3分画が増加するので,LCA結合性の解析で肝細胞癌診断の特異性を高めることが可能である.10%(良性肝疾患のL3分画比の平均値+2SD)をカットオフ値とすると,感度は約40%,特異度は約90%である.
- L3分画比が高い肝細胞癌は低値のそれに比べ,悪性度の高い低~中分化型が多く,治療抵抗性のものも少なくない.そのため,治療効果の判定のみならず予後の指標としても有用である.
基準値・異常値
基準値 | 10.0%未満 |
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高値 |
次に必要な検査超音波検査,CT,MRIなどの画像診断. |
予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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製品情報
ミュータスワコー AFP-L3・i50
添付文書記載の |
正常または良性肝疾患(慢性肝炎、肝硬変)での参考値* 10%未満 <判定上の注意> ・検体中に非特異反応物質(異好性抗体等)が存在する場合は、正しい測定結果が得られない場合があります.また、検体中に自己抗体のようなAFP結合性物質が存在する場合には、異常ピークが形成される(Aマーク)等によりAFP濃度が低値を示す可能性があります.その他にも血清マトリックスの影響により正しくAFP濃度を求めることができない場合があります.測定結果に基づく臨床診断は、臨床症状や他の検査結果等と合わせて担当医師が総合的に判断して下さい. ・急性肝炎及び劇症肝炎の検体はAFP-L3%及びAFPが高値を示すことがあります. ・妊婦検体はAFP-L3%及びAFPが高値を示すことがあります. ・肝細胞癌以外のAFP産生性腫瘍ではAFP-L3%あるいはAFPが高値を示すことがあります. ・AFP-L2分画を含む検体の場合、L2分画は大部分がL3分画として測定されますが、他法での結果(L2+L3分画の値)と一致しない場合があります. *Oka H., Saito A.,et al.:J. Gastroenterol. Hepatol.,16,1378-1383(2001). |
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